2025.10.23 未分類

宮崎県都城市 NiQLLの視察

青藍会では、宮崎県都城市を訪問し、同市が全国トップクラスの成果を挙げているふるさと納税戦略と、公民連携による地域振興の取り組みについて視察を行いました。都城市は人口16万人、豊富な地下水と盆地地形により畜産業が特に盛んな地域で、農業産出額は5年連続で日本一を誇ります。また、焼酎「黒霧島」を製造する霧島酒造、和弓や木刀など伝統工芸の生産量も日本一の“ものづくりのまち”でもあります。

しかし一方で、かつては知名度の低さが課題でした。就任直後、池田市長が東京都の窓口で「宮崎」が「宮城」に、さらに「都城市」が誤読されるなど、自治体としての存在感の弱さを痛感したことが、PR戦略の出発点になりました。

1. ふるさと納税を基軸にした4段階のPR戦略

都城市は、従来の“ゆるキャラ”やロゴによるPRではなく、ふるさと納税を戦略の中心に据えるという自治体としては異例の方針を打ち出しました。

戦略は次の4段階で構成されます。

  • 知ってもらう — お肉と焼酎という地場産品の全国的人気に着目し、返礼品に集中投下。
  • 来てもらう — ふるさと納税を財源に「ミートツーリズム」を展開。食事や宿泊費の一部を助成し、来訪者を増加。
  • 買ってもらう — 令和5年に道の駅をリニューアルし、既に累計300万人以上が来訪。防災機能も併せ持つ地域拠点に。
  • 住んでもらう — 保育料・医療費・妊産婦検診の完全無料化や、最大500万円の移住支援金など子育て施策を強化。昨年は13年ぶりに人口が社会増へ転じました。

観光資源が多くない「通過型のまち」が、ふるさと納税を入口に関係人口を増やし、最終的に定住までつなげるという、非常に論理的で一貫した政策展開が印象的でした。

2. 公民連携の核「都城地場産業振興協議会」

2016年には、約170の地元事業者が出資して設立した「都城地場産業振興協議会」が発足。市の予算に頼らず、返礼品委託料の2%を事業者自らが拠出し、年間約8.1億円の自主財源を運営に活用しています。

この組織は、公費が入らない分、意思決定が驚くほど速く、広告展開・イベント出展・返礼品改善・大学生支援など多様な事業を実施。

特に、返礼品に川柳の応募用紙を同梱する「ふるさと納税川柳(フル川)」は年間76万部を配布し、約1万句が寄せられる人気企画となっています。

こうした取り組みが評価され、協議会は2025年2月に**総務省「ふるさとづくり大賞」**を受賞しました。

3. 学びと丹波篠山市への示唆

都城市の事例から強く感じたのは、

「自治体のPRは、戦略性とスピード感が鍵である」

という点です。

  • トップの強い意思
  • 事業者との協働による迅速な意思決定
  • 地域の強みを一点突破する集中戦略
  • 関係人口→交流人口→定住という明確な導線設計

これらが噛み合うことで、全国トップレベルの成果が生まれていることを学びました。 丹波篠山市においても、地域の強みを明確化し、公民が同じ方向を見る“ワンチーム体制”をつくることが、これからの地方創生の鍵になると感じています。